「どこか遠いところにいったら幸せになれるかもしれない。」
「私はみんなとはちがうんだから。
頑張れば魔法だって使えちゃうんだから。」

主人公の『ぼく』をみていたら、小学生の頃、
嫌な時間・苦手な時間を乗り越える時には、
こう自分に言い聞かせていたことが思い出されました。
大嫌いなドッジボールの時間、
ピアノがうまく弾けなくてピアノの先生に怒られた時、
学校のクラスが居心地悪く感じた時、
母親と喧嘩した時…… 

それからもう十数年経ち、そのようにを考えることは
いつの間にかなくなっていました。
それは、自分の幸せの形を見つけられ、自分は自分でいいんだ、
と思えるようになってきたからかもしれないな、
と本を読み終えて考えさせられました。

絵本の登場人物の中での私のお気に入りは、
あおいほしで『ぼく』が出会っていく数人の宇宙人たちでした。
それぞれの宇宙人が、他人からどう評価されるかということには
全く興味がないかのように、自分の幸せを大切に抱き、
キラキラと時間を過ごしているように感じました。
そんな宇宙人たちが、とても愛らしかったです。

ラストのシーンで、お父さんとお母さんの音を聞きながら、
もうしばらく目を閉じたままでいようとする『ぼく』からは、
両親の気配を近くに感じながら、車の後部座席で安心して
眠りについていたことなどを思い出しました。

小さい頃の自分や思い出が、物語を読んでいると自然と思い出され、
その心地よさの中に思わず目を閉じてしまう絵本でした。

(05/09/05)


バックナンバー:





やまぐちまさじ(山口 正児) イラストレーター。愛知県生まれ。マガジンハウスan・anやtarzan、hanakoなどの各誌、ほか雑誌・書籍挿画など、多方面でイラストレーターとして活躍中。著作に「ガールフレンド」(クレオ)がある。